すけべでごめんなさい。

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「京口、起きろ」
「ふぁ……」
 ここは職員室。
 俺は京口さくらの担任 時任楓。
 今、京口に説教していた。
 だが、京口はすぐに寝てしまった。

 寝るな京口。

「あ、おはようございます、先生」
「おはようじゃない。今、おまえは何をされているのかわかってるのか!?」
「説教されてます」
 わかっているようだ。
 じゃあ、寝るな。
「ハァ……、もう二度と授業中に寝惚けるなよ」
「はい」
 京口さくらがまた問題を起こした、と一時間目が終わった直後、学年主任がカンカンに怒って俺に怒鳴ってきた。
 しかし、今回は、いや今回も問題というにはあまりにもバカらしい。
 一時間目の授業中、よりによって学年主任の授業で、京口はグッスリすぎるほど眠っていたらしい。
 怒った学年主任が、京口を起こしたところ、京口が寝惚けて、


学年主任のカツラを取ってしまったらしい。



 暗黙の了解を……!



 というわけで、俺は京口にちゃんとお説教をするようにと言われた。
 しかしまあ、


 そろそろ本気でここの学校やめたいのだが……。


「じゃあ、もういいから、京口、教室に戻れ」
「はい」
 そう言って、京口は一歩前に踏み出すが、まだ眠いのか、よろめいて倒れた。
 俺の机にぶつかる。
「大丈夫か、京口」
「はい。すみません」
 ぶつかったため、俺の机にあった、本やらプリントやらが床に散乱した。
 京口がそれを一生懸命拾っている。
 俺も一緒に拾う。

 と、突然京口の手がピタリと止まった。

 何かと思うと、京口はある雑誌をジッと見ている。
 俺の机に雑誌? 何か買っておいたかな?
 そう思いながら、その雑誌をよく見てみると、

 特別号 NIGHT BEAUTY


 こ、これは




 エロ本……!?




 何で俺の机にそんなものが!?

 いやそれより何で京口はそれをジッと見つめてるんだ!?

 そういうお年頃か……!?


 俺は頭をふり、とりあえずその雑誌を手に取った。
 水着姿の女が、胸を強調して写っている。
 どっからどう見てもエロ本だ。
 俺が、買った、わけはない。
 でもどうしてここに……?
 そう思ったとき閃いた。



 才野先生だ。


 俺の隣の席の才野先生。
 学園一のセクハラ教師という、全く嬉しくない、
むしろ不名誉な称号を授けられた先生である。
 学校中の女子からは嫌われ、一部の男子からはとても人気がある。
 才野先生の机には、一応見えないようにしているが、
エロ本がたくさんある。


 職員室にエロ本を持ち込まないでください。

 しかも、それが俺のところに来ちゃうし。

「先生……、その雑誌……」
 エロ本に気をとられ、すっかり京口の存在を忘れていた……!
 やばい! 間違いなく京口はこれを俺のものだと思っている!
 必死に弁解したいところだが、これは俺のものではなく才野先生のだと喋るのも気が引ける。
 ど、どうすれば……。

「その雑誌、才野先生のですか?」

 京口の意外な言葉だった。
 必死に頷きたいところだが、先に疑問を訊いた。
「何で、わかったんだ?」
「だって、そこに名前書いてありますよ」


 は……!?

 急いで、エロ本の後ろを見てみると、

 本当に書いてある。

 才野先生、エロ本に名前書かないでください……!


「お、京口、また何かやらかしたのか?」

 突然声がした。

 才野先生だ。

「時任先生も大変だな……って、うん?」
 そう言って才野先生は俺の持っているエロ本を見る。
「それは……時任先生のじゃないよな。すまんすまん、ワシのが紛れ込んでしまったか」
 俺はエロ本を才野先生に手渡す。
 才野先生はガハハハと笑っている。
 笑い事じゃないです。

「才野先生」

 京口が、真面目な顔して才野先生を見て、そう呼びかけた。
「ん? 何だ、京口? まさかおまえまで、セクハラ教師ーとでも言うんじゃないだろうな?」
「いえ、そうじゃないんですけど、NIGHT BRAUTYって今月号は十四日発売じゃないんですか?

 ……京口、おまえ今、何て言った?

「ん? ああ、そうだ。あってるぞ」
「でも、それ先月号のじゃないですよね?」
「ああ、これは特別号だ」
特別号! どうりで見たことがないと思った!

 京口、何か言ってることがおかしいぞ。
 まるで……、いや、まさか。

「何だ、京口。おまえ、エロ本読んでるのか?」
「はい。兄が愛読してるので、私も読ませてもらってるんです」

 ありえない……。

「ほぉ。さすが京口だな。
で、どの子が好きだ?

 褒めないでください、才野先生。
 訊かないでください、才野先生。

「私は、佐奈川まりえちゃんなんかが好きです」

 答えるな、京口。

「いいところに目をつけたな、京口。なかなか目が高い」
「ホントですか? 
わーい!

 喜ぶな、京口。
 

 俺は、ため息をひとつ吐いた。


 時任楓
 27歳 独身
 職業 教師

 ただいま再就職を考え中。





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