続  恋をした。2  後編

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 かなり、疲れた。
 息を切らす。
 もし、公園に戻ったとき、犬塚くんがいなかったらどうしようかと思った。
 だけど、彼はいた。
 大量の缶ジュースと共に。
 ガサリゴソリとビニール袋を鳴らしながら犬塚くんに近づく。
 犬塚くんは、少し赤くなった目を見張る。
「吉田……おまえ、帰ったんじゃ……?」
「何で?」
「え、何でって……俺を嫌いになったから……」
「ならないよ」
 そう言って、私は「はい」と、両手に持ったコンビニのビニール袋を彼に差し出す。
「こ、このぱんぱんに膨れ上がったビニール袋は?」
「お菓子」
 彼は少し大変そうに大量のお菓子を受け取る。
 私は、ベンチに座る。
「この大量のお菓子はコンビニで買ってきたの?」
「うん」
「何で?」
「…………」
 わからない。
 何でこんなに多くのお菓子を買ったんだろう。
 ああ、そうだ。笑いながらお菓子を食べて、リンゴジュースを飲む犬塚くんが思い浮かんだんだ。
 犬塚くんが笑うかと思ってんだ。
「犬塚くんが、喜ぶかと思って?」
「へ?」
 彼は不思議そうな、気の抜けたような顔をする。
 途端、私は心配になった。
 涙がこみ上げてくる。
「う、嬉しく、なかった?」
「え、あ、嬉しい……って、吉田!? ……泣いてる?」
 泣きたくなかった。
 でも涙を止めることができない。 
 犬塚くんには素直にとか言って、泣けばいいって言ったのに。
「よ、吉田……」
 彼は立ち上がってオロオロする。
 笑ってほしいな。
「い、ぬづかくん、わらっ、て」
 途切れ途切れになりながらも何とか言えた。
「へ? 笑って?」
「うん、笑って」
 犬塚くんは、「こうか?」と、ぎこちなく口角を上げて、眉を寄せる。
「……おもしろい顔?」
「ヒドッ!」
 そうショックを受ける犬塚くんに思わず私は笑い出す。
 一度笑い出したら止まらなくなった。
 お腹が痛い。
「吉田……おまえな……」
 怒っているような呆れているような犬塚くん。
「ご、ごめん……わ、笑いが……止まらなくて……お腹が…痛い……」
 いつまでも笑っている私の頭を犬塚くんが撫でた。
 驚いて笑いが止まる。
 バッと、犬塚くんの顔を見上げてみれば、彼は笑っていた。
「好きだよ」
 思わず言ってしまうと、
 犬塚くんはふんわりと微笑んだ。



おわり
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