「朔! 大丈夫!?」
倒れている朔のそばに、慌てたようにしゃがみこんだのは宮下だった。
「え?」
朔はのろのろと立ち上がろうとする。宮下は彼女に手を差し出す。
「大丈夫? 立てる?」
「あ、うん」
手を引かれながら、朔はようやく立ち上がる。たいした怪我はしていない。
「朔、本当に大丈夫? 少し擦りむいているね」
宮下は朔の顔に目をやりながら、視線を彼女の膝に移す。擦りむいているが血は出ていない。
「うん。大丈夫。これぐらい」
朔は制服についた砂を掃いながら、宮下の顔を見る。やっぱりきれいな顔だと思う。
そして何かが引っかかった。
何で、宮下君は自分を呼び捨てにしているのだろう。
朔の記憶によれば宮下と同じクラスになるのは今年が初めて。しかも、男子に呼び捨てにされたのも初めてだ。
慣れないことに、自然に顔が赤くなるのを感じた。
朔は急いで宮下と別れようと教室に急ぐことにした。
「じゃ、じゃあ。あ。宮下君、ありがとう」
一応お礼も忘れずに。
そう言って、歩き出したとき、腕をつかまれた。
驚いて朔が振り向くと、すぐ近くに宮下の顔が。
「じゃあね。朔」
走り去っていく宮下を呆然と見ながら、朔はベーゼって何ですか? と呟いた。
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