一瞬にして教室が静まった。
が、それも一瞬のことだった。
宮下は更に朔に近づき、もう一度声をかける。
「朔、大丈夫?」
かなり顔と顔の距離が近い。
美少女に見られると緊張してしまう。
「え、あ、う、うん。大丈夫」
顔をひきつらせて、どもりながらも朔は答えた。
そんな彼女に宮下は、極上の笑顔を見せた。
「そう、よかった。じゃあ、またね。朔」
と、言って去っていく彼。
朔も自分の席まで戻った。
が、何やら様子がおかしい。
ひそひそ話をみんなし、朔のほうをチラチラ見てくる。
チラチラどころか、突き刺すような視線を向けるものもいる。
何か、めんどくさそうなことになりそうだ。
朔は小さくため息をついた。
授業中もひそひそ話と視線は向けられていた。
二時間目終了後、朔はろくに先生の話を聞いていないにもかかわらず、どっと疲れてしまった。
思わず顔を伏せる。
向けられてくるいくつもの視線の理由は、きっと宮下君だ。
朔がそう考えていたとき、頭上から名前を呼ばれた。
「園山さん」
あきらかに恵利ではない。
顔を上げてみれば、自分の机の周りには数人の女子が取り囲んでいた。
本当にめんどくさいことになってきた。
今度はため息をつかず、眉間にしわをよせた。
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