「園山さん、どういうこと?」
何が。
と思ったがすぐに宮下のことだとわかった。たぶん。
なんて答えればいいかわからず、黙ったままとなった。
「聞いてるの、園山さん? どういうことなのって言ってるの」
「な、何が?」
一応訊いてみた。
結果、火に油を注ぐこととなった。
「何がって、しばらくでないでよ! どうして宮下君が園山さんのこと呼び捨てにするのよ!」
やっぱりそのことか。
そう思うのと同時に、何でたかが呼び捨てにされただけでこんな目に遭わなきゃなんねえんだとも思った。
ちらりと斜め前のほうに目線だけむける。
朔が女子に囲まれているのを知っているのか、知らないのか、宮下は涼しげに本を読んでいる。
朔は少し宮下を恨む。
が、それも長く続けられなかった。
取り囲む女子たちがまた声を上げたからだ。
「いい加減にしてよ! 早く答えて!」
こっちがいい加減にしてほしい。
そろそろキレそうになる。
しかしそうすると更にめんどうなことになるのは目に見えているので、自分を抑える。
何かいい言い訳はないだろうか。
私は何も悪いことしてないのに何で言い訳なんか考えなければならないのだろう。
宮下も別に悪いことはしてないのはわかっているが、やはり非難してしまう。
しかし、何もいい考えが浮かばない。
そうこうしているうちにチャイムが鳴った。
なかなか答えない朔にイライラしていた女子たちは、舌打ちをしながら朔の机から離れていった。
どっと疲れた。
なんだかんだいってかいわないでか、朝からめんどうなことが起こっているような気がする。
普通なんだけど、何かずれ始めた。
朔は確かにそう感じた。
三時間目終了後は、視線は突き刺さっているままだったが、わざわざ机にまで来る者はいなかった。
四時間目終了後。昼休憩。
朔の机の許にやってきたのは、財布を持った友人 恵利だった。
二人はいつもどおり食堂にと向かった。
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