やはり少女マンガのようだ。
放課後、人気のないところに連れ出されてしまった。
当然、無理やりにだ。
ここは、たぶん北校舎の裏。
「園山さん」
七、八人の女子に囲まれている。
その中の一人が朔に話しかける。
「その程度の顔で、宮下君と都崎先生に近づくなんて随分図々しいのね」
「自意識過剰なんじゃないの?」
そう言って、女子生徒たちは嘲り笑う。
内心、朔はくだらないと思う。
くだらない。くだらない。くだらない。くだらない。
黙っている朔に、痺れを切らすとでもいうように、突然、女子たちは声を荒げる。
「あんた! 聞いてんの!?」
「ブスのくせに近づいてんじゃねえよって言ってんだよ!」
くだらない。くだらない。くだらない。くだらない。くだらない。
朔はそう、言い聞かせた。
必死に朔は自分に言い聞かす。
「ちょっと、いい加減にしなよ!」
「消えてくださいって言ってんの!」
アホみたいな言葉。
幼稚で空っぽ。
なのにどうしてこんなに怖い!?
朔は、怖かった。
大勢の女に囲まれているだけ。
前にもあった。いじめにあったこともある。
だから慣れている。はずなのに。
怖かった。
ジッと固まって、震えているのを気づかれないようにするのが精一杯。
心の中でくだらないと言うだけで精一杯。
黙っているのは出す声が震えているかもしれないから。
「ムカつく!」
女子生徒の一人が、朔の髪の毛を引っ張る。
他の女子生徒が朔の肩を掴む。
「二度と男の前に出れない顔にしてあげようか」
頬にパァンという、小気味の良い音が走る。
何だか、やくざのセリフみたいだね。
朔はそう悪態をつく。
やはり心の中で言うのが、精一杯だった。
だが、女子生徒の内の一人の言葉で、朔は恐怖心を忘れた。
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