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2. 怒り




「花山といい、あんたといい、ほんっとにムカつくわね」

 花山?
 ――恵利? 恵利がどうして出てくるの。
「花山もね、今あんたと同じ目に遭ってるよ」
「あいつって、すぐ泣くよねー」
 恵利がわたしと同じ目に?
「あんたのせいで友達も大変な目に遭ってるのよ」
「だから、さっさと二度と宮下君に近づかないって言いなさい」
 この人たちは、何を言ってんの?
「恵利に……恵利に何かしたの?」

 朔の声は震えていた。
 怯えじゃない。

 怒りでだ。

「別に花山のことなんてどうでもいいでしょ。それより……」
 朔は女子生徒が言い終える前に掴みかかっていた。
「ちょっと、何すんのよ!」
「何してんだよ!」
 他の女子生徒が止める手を力いっぱい、振り払った。
 ただ一人、朔の一番近くでふんぞり返っている奴に狙いを定めた。
 無理やりのその女子生徒を倒す。
「わたしの顔を、二度と人の前に出れない顔にしてくれるんだっけ? わたしもしてあげるよ。ここにいる人全員は無理だけど、あんただけならわたしにもできる」
 そう言って、朔は拳を振り上げる。
「ちょ、ちょっと止めてよ……!」
「恵利は、どこに呼び出したの」
「た、体育館裏……」
 朔は勢いよく立ち上がる。
 女子生徒たちが肩やら髪やら掴むけど、気にしてられない。
 髪なんて抜けてもいい。
 手を無茶苦茶に振り払い、朔は走り出した。




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