朔は恵利に、雪人と友達になったいきさつを話した。
恵利はよかったね、と喜ぶ。
ついでに朔は、昨日雪人から送られた顔文字付きのメールを見せた。
恵利は宮下君って、意外にかわいいんだねーと笑った。
かわいくない。
朔はまだ昨日のメールについて少し怒っていた。
今日は休日。
朔と恵利は話題になった映画を見に行っていた。
今はその映画を見て、昼ごはんをどこで食べるか考えつつ、街を歩いているところだ。
街は休日なので混んでいる。
人が多い。
朔はさっさとこの人ごみを抜け出したいと思っていた。
「ねえ、早く適当なところで食べようよ」
「でもおいしいところがいいでしょ」
朔は黙る。
人ごみは嫌いだ。しかしおいしいものは食べたい。
人の混む学校の食堂でも、朔が毎日食べにいく理由だ。
「なんか、ここらへんにおいしい店があるって、聞いたんだけど……って、あ!」
どうしたんだろう、と朔は恵利を見る。
もしかして「おいしい店」はここらへんにないのだろうか。
恵利は目を見開いている。
「どうしたの?」
朔が訊くと、恵利は向こうを指で指す。
「あそこに都崎先生がいる!」
朔も驚いて、恵利が指している方向を見る。
都崎が、いた。
教師だって街に出るのは当たり前だが、まさか会うとは思っていなかった。
しかも。
都崎の横には女の人が歩いている。
茶色で長く、さらさらな髪をしている。
遠くからなのであまりよくは見えないのだが、美人だということはわかった。
とてもキレイな人。
周りの空気さえも違って見える。
腕を組んで歩く二人は一体……。
女の人は楽しそうに笑っている。
都崎は学校にいるときとかわらぬ仏頂面だが、いつもと違う雰囲気が違って、やわらかい気がする。
二人はとてもお似合い≠セった。
都崎の周りの人は、みんな立ち止まってその二人を見ていた。
美男美女のカップルは歩くだけで人目をひく。
都崎の、恋人だろうか……?
朔はただ呆然と都崎と、女の人を見ることしかできなかった。
ずっと見続けていたが、都崎が朔たちに気づくことはなかった。
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